
生徒に「なんで th と s って違うんですか?」と聞かれて、感覚的な説明でごまかしていませんか。実はこの感覚頼みの指導、ネイティブ講師でも陥りがちな落とし穴です。この記事では、"調音点"という客観的な視点から「th」と「s」の違いを整理し、明日の授業からそのまま使える説明の仕方をご紹介します。
「th」が「s」に聞こえてしまう、その違いをうまく説明できていますか?
生徒が "think" を "sink" のように発音してしまう場面、きっと一度は経験があると思います。そのとき、とっさに「もっと舌を出して」「もっと優しい音で」と伝えていないでしょうか。
感覚的な指導が招く、あの"もやもや"
感覚的な声かけは、うまくいく生徒もいれば、何度言っても変わらない生徒もいます。直せているのか、たまたま近づいただけなのか、講師自身も確信が持てない。この"もやもや"こそ、ネイティブ講師がやりがちな感覚指導の限界です。ネイティブスピーカーは、自分がどう舌を動かしているかを意識しないまま発音を身につけているため、「なんとなく」以上の説明ができないことも少なくありません。
実は、明確な基準があるという話
実は「th」と「s」の違いは、センスでもネイティブかどうかでもなく、舌のどこをどう使うかという物理的な違いに過ぎません。この基準さえ知っていれば、ネイティブ講師以上に精度の高い説明が、誰に対してもできるようになります。
舌の位置ひとつで変わる、「th」と「s」の正体
舌先と歯の距離で決まる、音の分かれ道
「th」(θ)は、舌横を広げたまま上下歯列に挟み、舌のセンターラインに無意識な筋が残ってそこから息を出す音です。一方「s」は、舌先を歯に触れさせず、歯茎のすぐ後ろに近づけて息を細く通します。「歯列に挟まるか、触れないか」。これが2つの音の調音点(音を作る場所)の違いです。
日本語話者がこの2つを混同しやすい理由
日本語には「th」にあたる音がそもそも存在しません。一方「s」に近い音(さ行)は日常的に使い慣れています。そのため、意識しないと舌が無意識に「s」の位置へ引き戻されてしまう。これは努力不足ではなく、母語の発音習慣による自然な現象です。
明日の授業で使える、違いの伝え方
鏡と紙1枚でできる簡易チェック
口の前に薄い紙を1枚かざして発音させてみてください。「s」は息が一点に集中するため紙がはっきり揺れますが、「th」は息が舌全体に広がるため揺れ方が穏やかです。鏡で舌が歯の間に見えているかも合わせて確認すると、感覚ではなく"見える違い"として生徒にも伝わります。
生徒がつまずくポイントの見分け方
"think"→"sink"なのか、"this"→"dis"なのか。生徒によってつまずき方は異なります。どの音に置き換わっているかを聞き分けられれば、直すべきポイントがピンポイントで絞り込めます。
感覚指導から一歩進むために
客観的な基準を持つことの安心感
調音点という基準を持つだけで、「なぜその指導で合っているのか」を自分の言葉で説明できるようになります。これはネイティブ講師が持ちにくい強みであり、生徒からの信頼にも直結します。
AIで"見える化"するという選択肢
とはいえ、耳だけで細かな違いを毎回判定するのは簡単ではありません。英語発音を調音点・調音様式でAI診断するG-Phosなら、発音のズレを客観的に可視化できます。感覚に頼らず、自分自身や生徒の発音を客観的に確認したいときの選択肢として、ぜひ覗いてみてください。
